『隋書』の最大の特徴は、この十志30巻である。それは、本紀および列伝55巻が『
漢書』に始まる断代史の体裁をとっているのに対し、この十志が『
史記』や『
南史』、『
北史』と同様の通史であるからである。すなわち、本紀および列伝の完成後に出された太宗の命は、
梁・
陳・
北斉・
北周・隋の5つの王朝に対する志の編纂であったのである。それはとりも直さず、既に完成していた各朝の正史に志が存在しなかったことに起因しているのであるが、その一方で
北魏と
宋以来、隋の統一までを一つの
南北朝という時代と見る今日の
六朝という視点とは異なり、当時の視点での近現代が、南北の二極対立から再び三極の鼎立に陥り、隋が統一を果たすという時代であったことを如実に表している。よって、この十志だけを独立して「
五代史志」と呼び習わしていた。また、ここに断代史であって通史でもあるという正史が成立したのである。