中古日本語 wikipedia|無料辞書
中古日本語(ちゅうこにほんご)とは
日本語の発展における一段階であり、
上代日本語に継ぐものである。
平安時代中期に用いられた。日本語の
文語体の基礎となる言葉遣いである。
平安時代の初期(10世紀)に日本語を記したものは漢文・
変体漢文と訓点資料(漢文の訓読を記号・文字で記した資料)・古辞書を除いて残存資料に乏しく、実態ははっきりしない。一方平安時代末期(11世紀末ころ〜12世紀)には中期とは異なる現象が現れ始め、「院政期」と呼ばれる。院政期は後の鎌倉時代と似た特徴を持ち、「院政鎌倉時代」と一括して考えることがある。従って「中古日本語」という時は平安時代の中期を中心に、初期も含めるが、院政期を除いて考えるのが一般的である。そして院政期は「中古」に対して「中世前期」と呼ばれる。
◆ 背景
上古日本語は漢字を借用し日本語を写していた (
万葉仮名) 。平安時代には
遣唐使が廃止され、服装も独自の変化を遂げるような
国風文化のもとで、表記の面でも万葉仮名から
ひらがな、
カタカナという表音文字へと変化した。漢字も残し活かしたこの発展は日本語の表記を簡略・豊潤にし、文学の新時代を現出し、『
竹取物語』、『
伊勢物語』、『
源氏物語』などの古典を生み出した。
◆ 音韻
◇ 音素
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ヒ /hi/||
フ /hu/||
ヘ /he/||
ホ /ho/
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バ /ba/||
ビ /bi/||
ブ /bu/||
ベ /be/||
ボ /bo/
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マ /ma/||
ミ /mi/||
ム /mu/||
メ /me/||
モ /mo/
|-
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ヤ /ya/|| ||
ユ /yu/|| ||
ヨ /yo/
|-
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ラ /ra/||
リ /ri/||
ル /ru/||
レ /re/||
ロ /ro/
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ワ /wa/||
ヰ /wi/|| ||
ヱ /we/||
ヲ /wo/
| -->
・ア行の「オ」とワ行の「ヲ」の区別は11世紀初めには語頭において混乱を始め、11世紀後半には区別がなくなった。『悉曇要集記』(1075年成立)には「オ」のみで「ヲ」が記されていないことからわかる。但し「イ」と「ヰ」、「エ」と「ヱ」の区別はしばらく保った。
・ア行の「エ」とヤ行の「エ」の区別は10世紀半ばまでは区別されていた。
紀貫之の『土佐日記』(935年頃成立)を忠実に写した写本には区別があるという。
源順(911-983)の作った歌を集めた『源順集』には「
あめつちの詞」に依拠した歌があるが、「あめつちの詞」には「え」の文字が2回出てくるので区別があった時代のものと見られる。但し源順自身は区別がわからなくなっていた。
源為憲が著した『口遊』(970年)に載せられている「
たゐにの歌」には区別がなく、
いろは歌も同様である。
・
上代特殊仮名遣の区別はほとんどなくなり、9世紀にわずかに「コ」の甲乙の書き分けが見られる程度である。
◇ 音声
実際に発音される
音声に関しては、以下のような点が特筆される。
・ ハ行の子音はおそらく両唇摩擦音(。「ふぁふぃふふぇふぉ」のような音)であった。 ただし語頭以外の位置では、11世紀頃までに /w/ に変化・合流した。これを「
ハ行転呼」と呼ぶ。
・ サ行・ザ行の子音は , / , / , などであった可能性がある。
・オとヲが合流した後、 の音声になったと見られている。
◆文法
◇動詞
中古日本語は上代日本語から8つのすべての活用を引き継いだ上、新たに下一段活用が加わった。
◇ 動詞の活用
棒線部は
語幹である。空欄部分は該当が無い場合。二重になっているものは複数または代替のもの。ひらがなは伝統的な活用表である。特に断らない限りカ行で示した。