先述したように副題に「
大晦日は一日千金」とある通り、20話の短編は全て大晦日の設定になっている。現在と異なり、売買の勘定は全て大晦日に決済する仕組みになっていたため、売り手にとっても買い手にとってもこの一日をどう乗り切るかという息詰まる駆け引き・攻防の日でもあった。売り掛けを取り立てようとする側と、何とかこの日を払わずに済ませようとする者たちが知恵を絞り秘術を尽くす様子を描く。例えば「門柱も皆かりの世」(2巻)には、借金取りから逃れるために自殺を装う男と、男の虚言を見破る材木屋の丁稚の話が語られる。