イッカク wikipedia|無料辞書
|種 = イッカク
|学名 = Monodon monoceros
|英名 = Narwhal
-->
イッカク(一角、英名:、学名:
Monodon monoceros)とは
北極圏に生息する
クジラ目ハクジラ亜目イッカク科に属する小型の
クジラである。北緯70度以南で観察されることは稀である。イッカク属はイッカク1種のみを含む。
◆ 形態
イッカクの雄の特徴は1本の非常に長い
牙である。この牙は
歯が変形したものである。イッカクの歯は上顎に2本の
切歯があるのみであるが、雄では左側の切歯が長く伸びて牙となる。牙には左ねじ方向の螺旋状の溝がある。その大半が中空で、脆い。先端はつやのある白。
[『クジラとイルカの図鑑』 96頁]体長が最大で4.7m程度であるのに対し牙の長さは3m、重さは最大10kgに達することもある。通常牙は一本であるが、500頭に1頭程度の割合で2本有する個体も存在する。この場合、もう一本の角は左側より短いが、同様に左ねじ方向の螺旋状である。また雌は通常、牙を持たないが、約3%程度に1.2mほどの華奢な牙が生える。また、野生においては一例、二本の牙を持つ雌が確認されている。
[『クジラとイルカの図鑑』 99頁]
牙の役割については多くの議論が交わされてきた。以前は棲息地である北極海を被う氷に穴を開けるために発達しているという説や
反響定位(エコーロケーション)のための器官であるという説などがあった。最近では牙は飾りであり、主な用途は雄の人気取りと優勢を誇示することであると考えられている。大きな牙を持つ雄は雌を魅了することができるようである。
ゾウの牙と同様に、イッカクの牙は一旦折れてしまったら再び伸びることはない。
体長は雄で約4.7m、雌で約4.2mに達する
[『鯨類学』 図鑑/世界の鯨類51]。雄の体重は1.5tに達することがあるが、雌は1tに満たない。
胸びれは短く、成体では先端が上方に反る
。また、
背びれは持たない。
尾びれは扇形で、中央に顕著な切れ込みがある
[『世界哺乳類図鑑』 197頁]。身体の大部分は青白い地に茶色の斑点模様であるが、首、頭部、胸びれや尾びれの縁などは黒い。年長の個体の模様は若い個体よりも明るい。老齢の個体はほぼ真っ白になるため、角が確認出来なかった場合などに
シロイルカと誤認される事もある。
◆ 生態
イッカクは俊敏で活動的な
哺乳類であり、主な食料は
タラの類の魚である。しかしながら、ある海域では餌として
イカを食べることに適応している。イッカクは5頭から10頭程度の群を作る。夏の間、いくつかの群が一緒に行動し同じ海岸へ集まることがある。繁殖期には雄同士が牙を使って争う。この争いは角を使って殺し合いをするのではなく、単に角の長さを競いあうということが近年分かってきた。強い(つまり角の立派な)雄は雌を多数従えた
ハーレムと呼ばれる繁殖集団を形成する。
イッカクは潜水が得意である。典型的な潜水は2m/s程度の速度で8分から10分間下降して1000m程度の深海に達し、数分間過ごした後、海面に戻る。1,164mまで潜水した記録がある。通常の潜水時間は20分間程度であるが、25分間潜水したという記録も例外的にある。
◆ 生息数と分布
イッカクは回遊する。夏の間は海岸近くの海域に移動する。冬が近づき海の凍結が始まると、海岸から離れて浮氷に覆われた海域に移動する。春になり浮氷の裂け目が広がる季節になると、再び海岸に近くに戻ってくる。
◆ 捕食者と保護
◆ イッカク神話
イッカクの棲む海域はヨーロッパの人々にとってはあまりにも北であったため、
19世紀までは伝説の動物だった。イヌイットとの交易を通してのみ、イッカクの存在が伝わっていた。イヌイットの間ではある女性が銛にしがみついたまま海に引きずり込まれ、その後、女性は
シロイルカにくるまれ、銛は牙となって、それがイッカクとなったという伝説が伝わっている。
◆ その他
ユニコーンの角は解毒作用があると考えられたため、中世ヨーロッパではユニコーンの角と偽ってイッカクの角が多数売買された。
◆脚注
◆ 参考文献
・M. P. Heide-Jorgensen, Narwhal in Encyclopedia of Marine Mammals, Perrin, Wursig and Thewissen eds., pp. 783-787. ISBN 0125513402
・
・
・